やっぱりバルサはかっこいい。それにバルサがいればとても安心する。
読者がそう感じるのは作中のさまざまな人物に感情移入してしまうからだ。この人の作品は読み始めると作中人物の目線になって物語の世界を歩くことなる。だから読み始めたらあっという間だ。
軽いファンタジーではない。どちらかといえば重いテーマを扱っている。でもストーリーの展開はワクワクするし、読後はふんわりと暖かい気分になる。
今回のバルサは一段と深みがある。悲しみを背負い、苦しみながらの強さとやさしさに溢れている。
バルサと一緒に悲しみ、微笑み、戦いながら読み進んでいける。
上橋作品は子供向けのようでそうではない。中学生までに一度は読んでほしい。その後は何度も読み返して、年代ごとに感じるものが変わる作品だと思う。
ファンタジーはちょっと。。。と言う人も是非手にとってほしい。
世にもの凄く面白い小説はあっても、それにくわえてもの凄くいい、が重なる小説は極く極く稀だということだ。凄く面白い、それだけですんでしまう物語もあるが、その上にいい、がつく上橋菜穂子ワールドをぜひ心ゆくまで堪能していただきたい。きっとあなたの人生のおおいなる指針となるはずだ。(解説:児玉清さん)
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