積読だらけ。並列読みで読み終わらないという最悪なパターンにハマっている今日この頃。。。
この本は一ヶ月くらい前に読み終わっていたんだけど、感想を書いていなかったのだな。
「航空機は誰が飛ばしているのか?」と聞かれたら、パイロットって言いたくなるよね。もう少し航空機の運行を良く知っている人なら「管制官」なんて答えるかもしれない。まあどっちも当たっているんだけど、この本はさらに空港の建設とか設計も含めて「飛ばす」ことについて書いている本なのだな。
民主党が政権をとった当初に、森田健作知事が羽田空港の国際化で前原国土交通大臣にかみついたことがあった。直接前原さんが説明しに行ったらころっと態度が変わったのを覚えている方も多いだろう。
ほんの数時間の間になにがあったのか?
この本を読むとそれがよくわかる。
一本の滑走路について一時間に何機発着出来るのか?滑走路が二本になったらどうなのか?風向きはどう影響するのか?運用時間はどう決められるのか?等々を総合して算定される空港の容量。これは考えてみれば当然なのだが有限である。
さらに国際線の場合、国と国との交渉でお互いに受け入れる便数を取り決めることになっている。これは要するに飛行機をたくさん持っている国が一方的に有利になることを避けるためのルールで、これがまた空港の運用を複雑にする。国際線と国内線を空港別に分けてしまうことの不便さは成田で歴然としている。国内線と国際線は同じ空港で乗り継げるに越したことはないのだが、容量ギリギリの発着に慣れている国内線パイロットとたまにしかこない国際線パイロットが混在すると滑走路の容量を低下させる要因になったりもする。羽田に滑走路を増やしても現状は市街区域である西側を発着ルートとして使うことはできないから、実質東京湾上空で発着便が交差する形になってこれまた発着容量に影響する。
日本は東京一極集中なので結果的に羽田と成田の両方をあわせても発着容量は足りないのである。ではさらに首都圏に空港をさらに増やすにしても飛行機の速度を考えれば羽田と成田ですらほとんど隣り合っている状態だから新たな空港を作る場所はさらに東京の中心部から遠いところにせざるを得ないということになる。
他方で地方には一日一便やっと飛ぶというような空港が作られる。こういう空港はもちろん東京に乗り入れたいのだが、羽田がこんな状況ではとても無理。と言うわけで韓国とか中国への便ばかりが飛んだりする。
空港行政は支離滅裂。むかしむかしの国鉄/鉄道建設公団を彷彿とさせる状況で、JALが潰れたというのも経営が悪いとばかりは言えないということがわかる。
そんなわけで航空機が空を飛ぶのはなかなか大変。ということが書かれた本で、こういう事を学んで空港を眺めてみるのもなかなか面白いものなのだった。
[いいですね] んちばさんの感想で、本一冊読んだ気になりました(笑)
なるほど、そうですよね。
で、そこには当然政治が介在していて、というか、まずは政治ありきなわけですけど、航空行政って旧田中派の利権なわけで、JAL問題の根っこはJALの放漫経営だ!とか、前政権が!というのはちょっとどうなの?という感じです。
投稿情報: Laka | 2010/02/19 10:37
交通網って利権とか地域エゴみたいなもののカタマリになっちゃいますよね。。。我田引鉄なんて言葉があるけど、鉄道の線形見るとすげーことやるなあって感じのところが結構あります。まあ、人のいないところに引っぱったってしょうがないのでそういうこともアリだとは思うんですけど、技術的な側面で見るとメリットを帳消しにしてしまうようなケースもあってなんだかなあと思っちゃいます。東京と博多を結ぶ新幹線もその速度を考えてまんなかへんの明石に待避線を作って最速列車を優先できるようにしようなんてスケールで設計されているんですが、途中に駅を作れなんて始まっちゃうと本来のスピードは出せなくなるし、スピードアップのための開発コストが大きくなったりもするわけで。。。駅とか線路の建設コストだけが問題になることが多いですけどね。。。新幹線ですらそうなので、リニアを迂回なんて存在意義をなくしてしまう。でも既存の鉄道のイメージで考えてしまう人は圧倒的に多いから、それが利権を支えることになる。空港も全く同じ構図。交通網は速いのと遅いのを組み合わせることで便利になるんだけど、利権がらみで結果的に不便になってるってことは知っておきたいですよね。
投稿情報: んちば | 2010/02/20 08:19