自分の感覚がそうなっているからなのか、何者かがささやいているのか知らないけど、連続して起業してたくましくやっている人にかかわる本を読んだなあと思った。
この本は小説で、もちろんフィクションなんだろうけど、アジア各地から東京にやってきたさまざまな人たちが描かれていて、彼らはたくましく自分のビジネスを作り出そうとする人たちなのだ。
会社に滅私奉公なんてありえない。必ず自分のビジネスを別に持つ。だから会社がなくなったって関係ない。会社は誰でも作れるものだから、当然いきなりなくなる事だってある。というのが前提で生活や人生を設計する人々。この感じ、ひとつ前に読んだ「夕張への手紙」のナタリアさんと共通のものを感じたのだ。
僕には会社というのは特別なお金のある人が作るものだという意識がある。自分が会社を作るなんてあまり考えたことはないのだけど、本当にやりたいことをするために自分の会社をつくるという選択肢はもちろんあるのだな。
僕のように考える人が日本人には多く、ひょっとしたらそういう人の割合が多すぎるのが日本の閉塞感の原因かもしれない。人生の選択肢が狭すぎるのだ。先が見えすぎる人生は面白くともなんともないから、若者に覇気がないというのもうなづける。
この本の舞台となるアジアのいろいろな国から日本に来た人向けの新聞社を作った若い社長は安定を嫌い、さまざまな事業に手を出す。うまくいっているところには口を出さないだけじゃなく、興味がないという極端な人だ。そこに自分のために働く人たちが集まって、事業としてきちんと成り立っている。もちろんいろんな問題もあるけど、みんなが自分の目的を持っていろんなことをやっている。会社の仕事は人生のほんの一部。自立しているのだ。
読んだあとになにかほんわかとした気分になる面白い小説だけど、僕はなんとなく自分の生き方について考えてしまったよ。
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