宮部作品は江戸モノが一番好きなのだけれど、ファンタジーも好きだ。まあ、時代物はファンタジーの一種といえないこともないから、いずれにしても宮部のファンタジーは好きということになる。
この作品は、プレステの同名のゲームの世界観を使ってノベライズしたものだ。ゲームのストーリーとはとくに関係はないらしい。
主人公はイコ。冒険者だな。そして、謎の城に送り込まれてそこに幽閉されているお姫様を助ける。という完全にRPGのセオリーどおりなんだけど、その城の成り立ちとかお姫様の立場に宮部らしい複雑な背景があって、物語としての面白さが成立している。
結構長いんだけど、なんとなく後半の落としどころがうまくないというか、中盤までを長く書きすぎて紙数が尽きたという感じでラストがばたばたと進んでしまうのがちょっともったいない感じ。
他の宮部作品と比較するとちょっと物足りないかな?
でも、途中の「正義」がわからなくなってしまうあたり、深みがあっていろいろ考えさせられる。
ゲームのicoをやってみた人には、こんなストーリーもあるという感じで楽しめるんじゃないかと思う。
僕はゲームの方をやってみたくなったな。
ICO-霧の城- (講談社ノベルス ミH- 1)
宮部 みゆき
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