「図書館内乱」を土日の二日に分けて読み終わって、すぐに3冊目のこの本にとりかかった。
内乱、危機と主人公の成長にしたがってよりシビアな戦いに赴くことになる。醜い人間の心が自分の中にも存在することに気づいて傷つき、それだから人を信じることもできるという感性。これが僕にはとてもグッと来た。
僕は涙腺がゆるいほうだから、ここまでの3冊では必ず一箇所や二箇所うるうるしながら読むシーンがあった。まあそんなことはよくあることなのだ
が、この作品の場合そのわけは作者の書き方の特徴にある。各キャラクターの視点にちょこちょこ切り替わるのである。これは読者を混乱させる部分もあるよう
な気がするが、たぶん作者がその人物の気持ちになりきって書き進めているのだろう。逆に言うと複数いるキャラクターは作者の分身なのだ。だから読んでいる
僕もそのままそれぞれのキャラクターに感情移入してしまって思わず泣けてきてしまったりするのだ。
とてもきれいなばかりではない自分の心。だけどきれいなものを信じたい自分の心。
シビアな状況のなかで、それぞれに結びついていく心たち。ひねくれモノばかりだがどいつもこいつも愛おしい。このように人を描けるところが作者の素敵なところで、僕はそんなところにグッとくるのだと思う。
結局日曜日の夜にはこの本も読み終わって、4冊目に手をつけてしまったのだった。
図書館危機
有川 浩
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