あさのあつこってなんだか聞いたことがあるなあとのんびり考えつつ、ほんの少し中を覗いたら、癖のある同心と先代から仕えてその同心をあまり好きになれない岡っ引きが出てきて、謎の多い身投げがあって。。。と、どうも僕の好きそうな展開なのでとりあえず買った。
あとでああ、あさのあつこって「バッテリー」を書いた人かと気づいたんだけど、時代モノを書くとは知らなかったのでぜんぜん結びつかなかったのだ。とは言いつつも、実は僕は「バッテリー」も読んでいなくて、あさのあつこは初めてなのだ。
身投げから謎解きが始まる。しかしある程度読み進んでも全く犯人の見当がつかない。最後まで読んで初めてたくさんある伏線に気がつくというミス
テリーとしては最高の出来。しかも謎が解けたらそれでおしまいということはなく、ずっしりとした手ごたえというか、読後に少々感慨にふけってしまうような
重厚な作品であった。
この手の作品といえば宮部みゆき。でも、この作品の伏線の解決の緻密さを見ると、宮部みゆきは大胆というか、多少荒っぽいのかなと思えてしまった。といっても、僕はそういう大胆さが好きなんだけど。
この作品はこの作品で完結しているが、作者はこの作品で生み出した世界・キャラクターをさらに深めて書いていきたいと思ったようで続編が出ている。是非そっちも近いうちに読んでみたいと思っている。
弥勒の月 (光文社文庫 あ 46-1 光文社時代小説文庫)
あさの あつこ
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