ノーベル賞はすごいとは思う。だけど、実際のところなにがすごいのかはよくわからない。
この本は小林・益川理論というのは簡単に言うとどういうことなのか(簡単に言うのはとても難しいのだが)、それはなぜすごいのかということについて僕にも理解できるように説明してくれた。
理論はもちろんすごいが、このような基礎科学の分野の実験に莫大な資金と技術をつぎ込むことができるのは先進国中の先進国であるという記述がエンジニアの端くれの僕を元気付けてくれた。
立花さんの本は、難しい理論や技術の中身をわかりやすく詳細に説明するところがすごい。サブタイトルになっているBファクトリーとは加速器のことだ。何度かテレビのニュースなどで見聞きしてたことはあるが、実際にどんなことをやるのかはいつもよくわからなかった。この本にはそのほんのさわりが書かれていて、その仕組みだけでなく問題点や運用の苦労まで書かれていて面白い。アメリカの加速器との競争のことも書かれていて、最先端はどんなムードなのか想像することができる。難しい図表や数式も出てくるが、それはなんとなく雰囲気がわかるものである。もともと難しい理論の世界なのだから、それを雰囲気がわかるというレベルにするだけでも大変なはずなのだ。さすがである。
目に見えない素粒子の世界の実験を安定的に行うための巨大な工場のイメージ。想像するだけでもワクワクしてしまうのだな。
立花隆 小林・益川理論の証明 陰の主役Bファクトリーの腕力
立花 隆
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