書店に行ったらとりあえず眺めるのがその地域の本を置いてある棚だ。札幌の場合、たいてい「北海道の本」みたいな棚があって、地図や観光本から学術系の本まで北海道に関するものがいろいろ置いてある。
そこで見つけたのがこの本。
僕は機関区の近くで育ったので近所は鉄道関係者ばかりだった。当時は遊びに行ったらわりと気楽に車両の中を見せてくれたり、機関車に乗せてくれたり、職員のおやつにでも作ったらしいかぼちゃの煮物のお相伴にあずかったり、実にやさしい時代だった。それから合理化闘争とか民営化反対闘争、JR移行に伴なう広域配転みたいな大変な時期も目の当たりにした。
だから鉄道のハードウエアも好きだけどソフトウエアとか人の面にもとても興味がある。
著者は国鉄時代に車掌長だった人だ。車掌の仕事を車掌所の組織体制から乗務体系、列車や車両の種類や設備の操作、線路や信号の設備、乗務中に遭遇した出来事など実務の目線で詳細に書いている。
僕たちの印象に強い車掌さんは車内改札をしている姿だけど、車掌はもともと運行中の列車に関する責任を負う「列車長」。車掌の指示なしには列車は動き出せないし、なにかコトがあったときには現場の指揮者としてあらゆる処置を行う重責を担う存在なのだということを改めて知った。
さすがは豊富な乗務経験をもつ車掌長!と感じる面白い本だった。
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