この本を買ったのは去年だな。ずいぶん積んであった。
積読消化キャンペーン中(勝手にそう呼んでいるのだ)なのでとりあえず分量が多くないこの本を手にとったのだが、読み始めたら夢中になって3時間ほどで読み終わってしまった。
僕はツール・ド・フランスとかツールド北海道という名前は知っているがロードレース自体はよく知らない。駆け引きみたいなものがあるといういうのはなんとなく聞いたことがあるだけだった。たぶんそういう人は多いだろう。
ロードレースは生身の人間がとんでもないスピードを出して走るから空気抵抗のためにトップを走るのは相当な負担になる。だから駆け引きとは別にトップグループは敵同士でも先頭を交代しながら走るというフェアさも要求される誇り高き紳士のスポーツだという。
ロードレースでは駆け引きのために先を走るのがアシストの役目らしい。エースの体力を温存するために先行したり、他のチームを牽制するためにわざと飛び出したりする。チームとしてエースを勝たせるためにメンバーが戦略的に行動するというのはスポーツではよくある事だが、こういうエースとアシストの関係をアシストに焦点を置いてサクリファイスと表現しているのだ。
と言ってしまうとこの作品の内容を現していない。
実はこの本、ミステリーの味付けがある。なんのためのサクリファイスか終盤にわかるようになっている。なぜ?誰が?と思いながら読み進んでいくのだ。たぶん結論を予め予測するのは難しいだろう。そういう謎解きのあとに爽やかな感動が残る。
僕のお気に入りの作品となった。
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