「美女と竹林は等価交換できる」という独自の理論を根本においた、登美彦氏らしい不思議文章である。
エッセイということになっているようだが、エッセイというよりは登美彦氏という実在の人物をモチーフとした小説のようである。
竹林経営に乗り出すという謎の動機から話は始まり、手始めに知り合いの竹林の伐採を買って出るのだが、これが思うにまかせない。技術的な問題ではなくて主に自己管理上の問題というところが大変身近に感じられるから面白い。
最後は竹林経営の成功と挫折を妄想して、竹林から筍を掘って食べるということで一件落着するのだが、最後まで美女は現れない。美女と竹林は等価交換できるわけだから、最初から最後まで竹林のことを書いているということは美女のことを書いているのと同じわけだ(謎)。
全編どこまでがうそでどこまでが本当でないのかよくわからないのだが、登美彦氏が美女に縁がないということだけは本当のような気がする。
そんな登美彦氏が僕は大好きである。
美女と竹林
森見登美彦
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