われらリフターを読んだら、この作品も読みたくなって再読。
これも既に何度読んだか分からない。
ニッポンが豊かになる少し前の夜間定時制高校に通う高校生の話。
僕はこの作品の高校生より少し後の世代で、感覚はだいぶ違ってきているはずなのだが、「貧しさ」のイメージには連続性を感じる世代だ。
この作品を読むといつも思うのは、僕が未成年の頃は今のようにいつでも好きなモノが食べられるというような時期ではなかったなあということだ。マグロが高くなったというけれど、子供の頃は刺身はめったに食べられなかったし、肉なしカレーなんかめずらしくなかった。好きな時にケーキを食べるなんてありえなかった。
そういう時代のことを思い出してみると、今の物価上昇はまだまだ余裕があるような気がするのだ。
——ぼくの天使、と思った。その時、きっぱり決意した。天使をぼくの不幸の巻き添えにはできない、ぼくにかかる火の粉は一人で振り払おう、と。胸の奥の深いところに痛みが起きて、何度も深呼吸をした。
終盤のとても大好きなシーンだ。
ハッピーエンドではないけれど、なぜか頑張ろうという気持ちになる良い作品なのだ。
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