青函トンネルの建設をテーマにしたドキュメント・ノベル。昭和62年の本で、このときはまだ青函トンネルは開通していなかった。
僕は青函連絡船の最後の世代だ。何度か東京へ列車と連絡船で行ったことがある。しかしすぐに飛行機での移動に変わってしまったし、あまり東北地方に用がないので実は青函トンネルを通り抜けたことはたった一往復しかない。通り抜けたのはそれだけだが北海道側の吉岡海底駅は2度見学したことがある。駅の近くは作業坑が複雑につながっていて方角がまったくわからなくなることと、上も下もはるか彼方まで延々と階段が続いて終わりがまったく見えない斜坑が印象的だった。
北海道に生まれ育った者としては本州と北海道が地続きになるというのは印象的な出来事だった。だから映画「海峡」をはじめ青函トンネルにまつわるドキュメンタリーや物語はいくつも見た。この本も古書店で見かけてすぐに買ってしまったのだ。
この本は実際に青函トンネルの建設に携わった人々や建設記録をもとにした小説だ。主人公とその周辺の人々は架空の人物だが、トンネル掘削のエピソードは実際に起きたことを中心にしている。青函トンネルの圧巻はやはり先進導坑の掘削で、この本も先進導坑の貫通までだ。
この後も瀬戸内海での巨大架橋とか地図に残る巨大工事はいくつかあったけれど、苦闘しながらの土木工事の時代は昭和のうちに終わってしまったのだなあと思った。こういうドキュメントをみると巨大工事に限らずこの時代の人たちは夢を持って仕事に打ち込んでいたように見える。この時代の人たちはなかなか幸せだったのだなあとちょっとうらやましく思ったりするのである。
青函トンネル
秋永 芳郎
講談社 1987-10
売り上げランキング : 934137
前回の積読リスト掲載の直後に一気に2冊消化。と言いながらリスト上位の本がなかなか消化できず。
連休も終わりになってきたので落ち着いてまた読書をしたいような気がするが、今年はとても天気が良くて家にこもっている気にはならないのだな。
iPod touchにTouch Goalというアプリをインストールした。習慣管理のアプリケーションだ。散歩(+)、間食(ー)と寝る前の読書(+)を記録していくつもり。
連休中にちょっと食べ過ぎて体重が増えてしまった。少し節制しなくては。。。
連休なのでちょっと出かけてみた。半日コースにこんなところがあるというのがうれしい。
Jaxaチャンネルというのがあるのですね。
国際宇宙ステーションのなかとか、「かぐや」の月の映像とか、HD画質で見られるんだなあ。いい時代だ。
僕は翻訳モノが苦手だ。どういうわけか独特の翻訳くささみたいなものが昔からあまり好きではないのだ。本屋にはよく行くが、外国文学の棚の前はあまり近づかない。
そういう意味で言うと、村上春樹の作品は、彼のオリジナルの作品でさえ翻訳っぽくて、実は苦手な部類に入るのだが、読み始めるとやめられなくなるような魅力がある。それで彼の翻訳モノから苦手を克服しようと考えてこの本を手に取った。
読み終わってみると、流れるような文体とか簡潔だけど頭のなかに鮮やかに描くことができる情景描写はさすがだなと思うのだが、その「さすが」はやはり村上春樹に向けたものであって、フィッツジェラルドの良さとして感じるためには結局原書を読むしかないのだろうなという思いを強く持った。ひょっとするとそういうもどかしさが翻訳モノを避ける遠因なのかもしれない。と言って原書を読むなんてとても無理なのだけれど。
オリジナルは90年近くも前の話だが、同じ頃の日本文学の作品と同じような空気を感じる。科学技術の発達が世界中の人々に同じような世界観を持たせはじめる最初の時期だったのかもしれないな。と漠然と考えたが、社会的な階級みたいなものが今よりもくっきりしている所が似通っていると感じる部分なのかもしれない。こういう階級みたいなものって、今現在の自分たちには見えないモノなのかもしれないけど。
まあ、そんな難しいことはとりあえず置いといて、もう少し翻訳モノに親しんでみようと改めて思った。
グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)
Francis Scott Fitzgerald 村上 春樹
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万城目らしい独特の世界にどんどん引き込まれて数時間で読んでしまった。
北のはずれで生まれ育った僕には大阪のイメージは乏しいのだけれど、なんとなく大阪の人々ならこれくらいやりかねないなあという感じがある。とことん庶民の世界というのも感覚に合う。
ただ、なんとなくテーマがぼやけ気味というか、後半にインパクトを持ってこようとした割には緻密さを維持できなかったという印象がある。強烈なキャラクターがいくつも出てきて、それらが互いの印象を打ち消し合ってしまった感じだろうか?
と、それらしい文句を書き並べてはみたが、ちょっとだけ向こうの世界がまじった万城目作品が僕は好きである。
プリンセス・トヨトミ
万城目 学
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